全国 > コラム > 障害者グループホームがゼロの町は666ある
全国2,200市区町村(住民基本台帳2025年1月1日現在)とWAMNET掲載の障害者グループホーム(共同生活援助)所在地(2026年3月末時点)を突き合わせると、GHが1件も無い市区町村は666、全体の30%にのぼる。県単位で見ると、ゼロの自治体が半数前後を占める県がある一方、人口あたりの設置数には最大で約2.8倍の開きがある。GHの有無は、住んでいる場所によって大きく変わる。
全国の市区町村数は2,200(住民基本台帳2025年1月1日現在)である。このうちWAMNET(2026年3月末時点)にGHの所在地が1件以上掲載されている市区町村は1,534、1件も掲載されていない市区町村は666だった。全体に占める割合は30%になる。数え方はシンプルで、市区町村ごとにGHの掲載件数を集計し、件数がゼロの自治体をそのままカウントしただけである。人口や面積で重み付けはしていない。
なお、本稿で扱う障害者グループホーム(共同生活援助)は、高齢者向けのグループホーム(認知症対応型共同生活介護)とは別の制度である。名称は似ているが、対象者も根拠となる制度も異なる。
この666という数字は、あくまで掲載時点のスナップショットである。近隣にGHが開設されればゼロから外れるし、逆に廃止が続けば1,534の側から666の側に移る自治体も出てくる。「その町に需要が無い」ことを意味する数字ではなく、「その町に事業所が立地していない」という事実だけを示す数字だと理解しておく必要がある。GHを探す家族にとっては、居住地の市区町村単位だけでなく、周辺の市区町村まで含めた広域での把握が前提になる。
市区町村数に対するゼロの自治体の割合(ゼロ率)を県別に見ると、上位5県は次のとおりである。
いずれの県も、県内の市区町村の半数前後でGHが1件も無い。上位5県は東北・四国・中部にまたがっており、単一の地域傾向として括れるものではない。長野県のように市区町村数自体が91と多い県もあれば、徳島県のように32と少ない県もあり、母数の大小だけでゼロ率の高さを説明できるわけでもない。一律の要因ではなく、県ごとの個別事情によってゼロ率が形成されていると考えられる。
ゼロ率とは別の切り口として、人口10万人あたりのGH数(事業所数)で見ると、県間の差はさらにはっきりする。上位5県は佐賀県18.7・北海道17.7・大阪府17.3・大分県16.7・鹿児島県16.2、下位5県は香川県6.7・東京都7.6・福島県7.9・徳島県8.0・京都府8.0である。
最上位の佐賀県と最下位の香川県を比べると、約2.8倍の開きが生じている。福島県はゼロ率の高さ(上位5県)と人口あたり設置数の低さ(下位5県)の両方に該当し、地域差が二重に表れている。一方で東京都や京都府のように、都市部でありながら人口あたりの設置数が下位に入る県も見られる。ゼロ率の高低と人口あたり設置数の高低は、必ずしも同じ構図で説明できるものではない。ゼロの市区町村が少ない県だからといって、その県内のGHに余裕があるとは限らない点には注意が要る。
自分の住む市区町村にGHが1つも無い場合、確認すべき点は2つある。まず、隣接する市区町村までGHがあるかどうかである。全国では1,534の市区町村にGHが載っており、都道府県単位で見れば大半にGHは存在する。ただし、載っているかどうかと、実際に通える範囲かどうかは別の問題である。
もう1つは、GHがある市区町村でも選択肢が1つしかない場合があることだ。1事業所しか無い市区町村は全国に283ある。ゼロの町の隣が、選べる余地の少ない「1択の町」であるケースも珍しくない。ゼロの町から動くとしても、その先で複数の選択肢に出会えるとは限らないという前提を持っておいた方がよい。市区町村単位ではなく、生活圏や通勤・通学圏といった広がりで候補を洗い出す方が、実態に近い探し方になる。
お住まいの町は、市区町村ページで確認できる。ゼロの町であっても、まずは隣接する市区町村まで範囲を広げて探す方法が、現実的な出発点になる。
本サイトの数字はすべて障害のある方向けのグループホーム(共同生活援助)です。高齢者向けのグループホーム(認知症対応型共同生活介護)は含みません。名前が同じでも別の制度です。
事業所の数と一覧=WAMNET 障害福祉サービス等情報公表システム オープンデータ(2026年3月末時点)/人口=総務省 住民基本台帳(令和7年1月1日現在)。詳しくは出典とデータについて。
「この1年の増減」=2025年3月末→2026年3月末の掲載数の差(開設・掲載開始・廃止を含む)。複数の町に住居を持つ事業所は代表の町で数えています。